日本を代表する窯変陶芸作家 馬場真右衛門の窯変銀河釉 割山椒型中鉢になります。こちらは1点物になりますので入手困難なものとなります。
窯変の製作はとても大変で、窯の温度が少しでもズレれば窯変になりせん。窯の温度を一定に保つことでようやく表現ができます。
ところで、東洋陶磁の安宅コレクションにある国宝油滴天目をご覧頂いたことはありますでしょうか?
国宝と言われるだけあって、胴部から見込にかける油滴の拡がりが神秘的です。これは釉薬の溶け方、窯の温度、位置、還元焼成など全てのベストを奇跡的な確率で一致させなければ出来上がりません。その為、数多の陶工達が夢見て挑戦しました。しかし、未だに成功させた方はいません。
窯変製作は作業において窯炊き中は終わるまで見張り、温度が変わる度に決まった温度に戻すという神経がすり減る作業の末に出来上がるものです。
よって、価格も高いのは仕方ないことだと思います。江戸初期、雑器と呼ばれた焼き物でさえ大衆には手の届かない高価ものでした。京都鹿苑寺(現金閣寺)の鳳林承章禅師の日記「隔蓂記」の寛永16年11月13日の一節に「南歌被来。為宗貞形見、今利焼藤実染漬之香合恵之也」とあります。宗貞という人の形見として伊万里焼(有田焼)の染付けの香合が贈られた、という意味です。当時の上流社会にあっても有田磁器がいかに珍重されていたか伺わせられます。
本作品の特筆すべき箇所は割山椒型の切り口です。もちろん、見込み部分、胴部にまで広がる釉薬を銀河のごとく表現する集中力は見事ではありますが、この切り口部分に気付く方が何人いるでしょうか。こちらは手轆轤で成形した円渕を、ヘラ、もしくはカッターを使い生地を切り取っています。内部に盛り上がりが出来るのが見え、丁寧で真剣に制作されたのでしょう。釉薬も厚くしっかりし、ドンっと構えた割山椒型中鉢の存在が表現されています。
宇宙の銀河のように釉薬が広がり、吸い込まれそうな存在があり、溶け方、交わり方が1級品です。
窯変の中でも厳選したものになり、形状、溶け方もよく大変貴重なものになります。
サイズは写真の通りです。
この形状は試作品の為流通しておりません。貴重な1点となっております。
よろしくお願い致します。02