風景画を描いた袷の長襦袢です。
タテ糸、ヨコ糸に良質な撚りの少ない生糸を用いた平織の絹織物の羽二重のような生地です。(写真13,14枚目、USBマイクロスコープ顕微鏡で拡大しています)
生地に藍染の中で最も薄い色と言われています、白藍(しらあい)を染め、山々から流れる渓流とかやぶき屋根の民家を描いた長襦袢です。
清らかな水が流れる渓流の水の様子や木々に囲まれた茅葺の民家で静かにたたずむ生活の姿を情感たっぷりと描き上げています。
失われていく日本の風景画ともいえる光景を描いた長襦袢だと思っています。
所々、金採加工で精緻に染めて風景にアクセントをつけています。
以前の絞りの長襦袢の出品時に、身内に長襦袢等の裏物を扱う卸商を営む者がいて、絞りをお願いする職人さんが非常に少なくなって困っていることを記しましたが、絵描き作家さんも同様、少なくなっているようです。
作家さんがいなくて、小幅(出品しようとしています広幅の長襦袢の半分の幅)の絵描きさんに頼んだところ、広幅の長襦袢に絵を描く勉強をしようかなとのことだったとか。
その作家さんは80代後半の御婆さんとのことです。
手描きの長襦袢もこれからは入手しにくくなると嘆いていました。
袷仕立てで、半襟付きの長襦袢です。
長襦袢の裏地は羽二重の薄い黄緑色のワサビ色かかったグレーを使用しています。
今回の色見本は、ネットの「伝統色のいろは」を参照にしています。
表裏とも正絹です。
寸法(単位㎝)
身丈134 裄67,5 袖巾34,5 袖丈48,5 後巾31,5 前巾29
左後ろ肩辺りに染料の跳びのようなシミがあります。
染め上がった後に、染めつけた生地に残った染料、薬剤、糊等を多量の水で洗い流す作業の水元が甘かったようです。(写真4~8、10枚目)
難に変わりはないのですが、上に着る着物で隠れますので、商品の状態には目立たない難としております。
シミ汚れ等は出来る限りチェックしておりますが、見落としのある場合もございます。ご理解のほどお願いいたします。
デジカメの画像です。モニターによって色の違いが出ることがありますので、ご了承ください。
撮影に使用しましたマジックベルトは今回の出品物ではありません。