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時を超える輝きを、その胸元に。ティファニー 至高の14金スリーカラーゴールド インターロッキングサークル ブローチ
F2019【Tiffany&Co.】ティファニー 最高級14金スリーカラーゴールドブローチ 重量5.6g 幅20.5×31.2mm
ヤフオクをご覧の皆様、この度、世界中の人々を魅了し続けるジュエラー、ティファニーより、大変希少で美しいヴィンテージの逸品を出品いたします。180年以上の長きにわたり、最高峰のジュエリーを生み出してきたティファニー。その卓越したクラフツマンシップと時代を超越するデザイン哲学が凝縮された、14金スリーカラーゴールド無垢ブローチをご紹介させていただきます。
◆デザインが紡ぐ、豊かな物語と歴史の息吹◆
このブローチは、単なる装飾品ではありません。ティファニーが培ってきた伝統と、普遍的な美への追求が見事に融合した、まさに芸術品です。
- 永遠の絆を象徴する「インターロッキングサークル」:
二つの円が優雅に重なり合うデザインは、古代より「永遠の愛」「途切れることのない絆」「調和」「無限」を象徴するモチーフとして、洋の東西を問わず愛されてきました。ティファニーは、この普遍的なシンボルに洗練された解釈を加え、ジュエリーとして昇華させています。このブローチを身に着けることは、大切な人との繋がりを祝福し、あるいはご自身の内なる調和を静かに表現することを意味するのかもしれません。流行に左右されないこのモチーフは、人生のあらゆる節目で、そして日々の装いに寄り添い続けるでしょう。 - 多彩な表情を見せる「スリーカラーゴールド」の妙技:
温かみのあるイエローゴールド、優美なピンク(ローズ)ゴールド、そして知的な輝きを放つホワイトゴールド。これら三色のゴールドが、まるで美しい旋律を奏でるかのように編み込まれたツイストデザインは、このブローチの大きな魅力です。
スリーカラーゴールドのジュエリーは、19世紀末から宝飾史に登場し、特に20世紀初頭、芸術運動が花開いたアールヌーヴォーやアールデコの時代に高い人気を博しました。異なる色のゴールドを組み合わせることで生まれる豊かな色彩と奥行きは、当時の職人たちの高い技術力と美的センスの賜物です。ティファニーは、こうした歴史的なデザイン要素や技法を巧みに取り入れ、時代を超えて愛されるジュエリーを生み出してきました。このブローチは、まさにその伝統と革新が織りなす美しい結晶と言えるでしょう。 - 熟練の技が光る「ツイスト(ロープ)デザイン」:
それぞれのサークルを構成するゴールドは、繊細かつ力強いツイスト(ロープ)状に仕上げられています。この技法は、古代エジプトやローマ時代から見られる伝統的な金細工の一つで、ロープのように撚り合わせることで金属の強度を高めると同時に、光を複雑に反射させ、ゴールド本来の輝きを最大限に引き出します。このブローチに見られる均一で美しいツイストは、ティファニーの工房で熟練した職人が丹念に手掛けた証であり、細部にまで宿るクラフツマンシップを感じさせます。 - ティファニーが誇る、タイムレスなエレガンス:
ティファニーのジュエリーは、特定のコレクションに限らず、その一つ一つがブランドの哲学を体現しています。それは、最高品質の素材へのこだわり、卓越した職人技、そして何よりも時代を経ても色褪せない普遍的なデザインです。このブローチもまた、ティファニーならではの洗練されたエレガンスを湛えており、一過性の流行に流されることなく、長くご愛用いただける本物の価値を備えています。
◆最高級14金が約束する、確かな価値と輝き◆
素材には、品位の高い14金無垢のゴールドを贅沢に使用。総重量5.6gという確かな重みは、本物だけが持つ満足感と高級感を指先から伝えます。14金は、純金に近い美しい輝きを保ちつつ、適度な硬度を持つため耐久性に優れ、日常使いにも適しています。メッキ製品とは異なり、表面が剥げる心配がなく、ゴールドそのものの美しさを永くお楽しみいただけます。まさに、世代を超えて受け継ぐにふさわしい、資産価値も兼ね備えたジュエリーです。
◆装いに気品と個性を添える、大人のためのステートメントピース◆
幅約20.5mm、高さ約31.2mmという絶妙なサイズ感は、主張しすぎることなく、しかし確かな存在感で装いを格上げします。
シンプルなジャケットの襟元に添えれば知的なアクセントに。エレガントなドレスに合わせれば洗練された華やぎをプラス。また、スカーフやストールを留めるのにも最適で、いつものスタイルにさりげない個性を演出します。
フォーマルなシーンから、少しお洒落を楽しみたい日常まで、幅広い場面で活躍してくれることでしょう。
◆希少な出会いを、この機会に◆
ティファニーのジュエリーの中でも、このような美しいスリーカラーゴールドを用い、かつ精緻なツイストデザインが施されたヴィンテージブローチは、中古市場においてもなかなかお目にかかれない希少な存在です。デザインの美しさ、素材の確かさ、そしてティファニーというブランドが持つ不変の価値。そのすべてを兼ね備えたこのブローチは、きっと貴方のコレクションに新たな輝きをもたらし、人生の様々なシーンで特別な彩りを添えてくれるはずです。
時を経ても色褪せない、本物の輝きを求める貴方へ。
この素晴らしいブローチとの出会いが、特別なものとなりますように。
皆様からの熱意あるご入札を、心よりお待ち申し上げております。
以下、所謂ブラクラ妄想ショートショートです~~
『絡み合う円環(えんかん)の記憶』
第一章:暁色の約束
教会の鐘が、初夏の澄んだ空気に溶けていく。1920年代のパリ、モンマルトルの丘は、芸術家たちの情熱と自由な気風で満ち溢れていた。カフェのテラスでは絵筆を走らせる音、アトリエからはピアノの旋律が漏れ聞こえ、街全体が一つの巨大なキャンバスのようだった。
リラの花が甘い香りを放つ小さなアパルトマンの一室で、エミリーは窓辺に立ち、眼下に広がるパリの街並みを眺めていた。彼女の白いブラウスの胸元には、小さな輝きがあった。それは、恋人である新進気鋭の画家、ジュリアンから贈られたばかりのティファニーのブローチだった。
二つの円が優雅に重なり合うインターロッキングサークルのデザイン。それはジュリアンが「僕たちの魂の結びつきだ」と言って、エミリーの胸にそっと留めてくれたものだった。ブローチは、彼が初めて個展を開き、その成功を祝して手に入れた、ささやかながらも心のこもった贈り物だった。
「見て、エミリー。この三色のゴールド。イエローは太陽のような君の笑顔、ローズは君への熱い想い、そしてホワイトは僕たちの純粋な愛を表しているんだ」
ジュリアンはそう言って、彼女の指を取り、ブローチに触れさせた。彼の言葉通り、ブローチは温かみのあるイエローゴールド、優美なローズゴールド、そして知的な輝きを放つホワイトゴールドが、まるで三本の細い川が合流するかのように、繊細なツイスト(ロープ)状に編み込まれていた。そのロープは、それぞれが独立した輝きを放ちながらも、互いを引き立て合い、一つの美しい円環を形作っていた。
エミリーはその複雑な輝きに目を細めた。ツイストされたゴールドの表面は、光を受けるたびにキラキラと表情を変え、まるで生きているかのようだ。それはジュリアンの描く絵画のタッチにも似ていた。力強い筆致の中に、繊細な色彩が幾重にも重なり合い、観る者の心に深く訴えかける彼の作品のように。
「本当に綺麗…ジュリアン。まるであなたの絵みたい」
「僕たちの未来みたいだろう?」ジュリアンはエミリーの肩を抱き寄せ、囁いた。「決して途切れることのない、永遠の絆だ」
しかし、エミリーはそのブローチに触れた時、ふとした違和感を覚えていた。見た目の重厚感とは裏腹に、それは驚くほど軽かったのだ。まるで、その美しい輝きの内側が、空っぽであるかのように。
「ジュリアン、これ…少し軽いわね」
「ああ、それは中空のデザインだからだよ。ティファニーの職人技さ。見た目のボリューム感はそのままに、着け心地を軽くしてあるんだ。重すぎると、君の繊細なブラウスを傷めてしまうだろう?」
ジュリアンはこともなげに言ったが、エミリーはその「中空」という言葉に、なぜか胸の奥が微かにざわつくのを感じた。まるで、この輝かしい約束の内側に、まだ語られていない何か、あるいは満たされていない空間があるかのように。
その頃、エミリーの親友であり、同じくモンマルトルで帽子デザイナーとして名を馳せ始めていたイザベルは、複雑な思いで二人を見守っていた。イザベルもまた、ジュリアンの才能と情熱に密かに心惹かれていた一人だったのだ。しかし、エミリーの純粋な喜びを前に、その想いを打ち明けることなどできるはずもなかった。
ある日、イザベルはエミリーのアパルトマンを訪れた。エミリーはいつものように、胸元にあのブローチを着けていた。
「素敵なブローチね、エミリー。本当にあなたに似合っているわ」
イザベルは努めて明るい声で言った。
「ありがとう、イザベル。ジュリアンが…」
「ええ、知っているわ。彼の愛の証なんでしょう?」イザベルの言葉には、自分でも気づかないうちに、微かな棘が含まれていた。
エミリーは、イザベルの表情に一瞬よぎった影を見逃さなかった。彼女たちは幼い頃からの親友で、互いの心の機微には敏感だった。
「イザベル…何かあったの?」
「ううん、何でもないわ。ただ、そのブローチ、本当に美しいデザインね。三色のゴールドが絡み合って…まるで運命の糸みたい」
イザベルはブローチに指を伸ばし、そっと触れた。その瞬間、彼女の指先が微かに震えたのを、エミリーは見逃さなかった。
その夜、ジュリアンのアトリエで、小さな祝賀会が開かれた。彼の作品が、パリで最も権威のあるサロンの一つに展示されることが決まったのだ。仲間たちが集まり、ワインと音楽、そして若い芸術家たちの未来への希望に満ちた会話が飛び交っていた。
エミリーは、ジュリアンの隣で誇らしげに微笑んでいた。胸元のブローチが、部屋の灯りを反射して、星のようにきらめいている。その輝きは、まるで二人の未来を祝福しているかのようだった。
しかし、その宴の喧騒の中で、ジュリアンは時折、遠い目をする瞬間があった。彼の視線の先には、いつもイザベルがいた。イザベルは、祝福の輪の中心にいながらも、どこか寂しげな表情を浮かべていた。彼女の鮮やかなスカーフを留めていたのは、彼女自身がデザインした、鳥の羽根をモチーフにした質素な銀のピンだった。
エミリーは、ジュリアンの視線とイザベルの表情の間に、見えない糸が張られているのを感じた。それは、ブローチのツイストデザインのように複雑に絡み合い、簡単には解きほぐせない何かだった。彼女は胸元のブローチを握りしめた。その中空の軽さが、今度は心許なさとして感じられた。永遠の絆を象徴するはずの二つの円環。しかし、その内側には、まだ埋められない空白があるのかもしれない。
その夜、宴が終わり、二人きりになったアパルトマンで、エミリーはジュリアンに尋ねた。
「ジュリアン…イザベルのこと、心配なの?」
ジュリアンは一瞬言葉に詰まったが、すぐにいつもの優しい笑顔に戻った。
「心配?いや、彼女も才能あるデザイナーだ。きっと成功するさ。ただ、彼女は時々、自分を追い込みすぎるところがあるからね」
彼の言葉は淀みなかったが、エミリーの心には小さな疑念の種が蒔かれた。あのブローチの三色のゴールド。イエローは笑顔、ローズは情熱、ホワイトは純粋な愛。だが、その色の組み合わせが、時に複雑な陰影を生み出すように、人の心もまた、単純な色だけでは成り立たないのかもしれない。
数週間後、ジュリアンの個展は大きな成功を収めた。彼の名はパリの画壇に広く知れ渡り、未来は輝かしいものに見えた。エミリーはその成功を心から喜び、いつも胸元にはあのブローチを着けていた。それは彼女にとって、ジュリアンとの愛の象徴であり、希望の光だった。
しかし、成功は時として、人の心に微妙な変化をもたらす。ジュリアンは多忙になり、二人の時間は次第に減っていった。エミリーは、アパルトマンで一人、窓辺に立ち、ジュリアンの帰りを待つことが多くなった。そんな時、彼女は無意識のうちに胸元のブローチに触れていた。そのツイストされたゴールドの感触、そして中空の軽さが、彼女の心に複雑な感情を呼び起こした。
ある雨の午後、エミリーはイザベルの帽子店を訪れた。ショーウィンドウには、イザベルの独創的なデザインの帽子が並び、道行く人々の注目を集めていた。
「エミリー、いらっしゃい。珍しいわね、この時間に」
イザベルは少し驚いた表情で彼女を迎えた。
「ジュリアンが、今夜は遅くなるって。だから、少し気分転換に来たの」
エミリーは力なく微笑んだ。
イザベルはエミリーの顔色の悪さに気づき、奥の小さなサロンへと招き入れた。温かい紅茶を淹れながら、イザベルは言った。
「ジュリアン、本当に素晴らしい成功ね。でも、あなたは…大丈夫?」
エミリーはカップを見つめたまま、小さく首を振った。
「わからないわ。彼は遠くへ行ってしまったような気がするの。私たちの間に、何か見えない壁ができたみたい…」
彼女の視線は、胸元のブローチに注がれていた。
「このブローチ…ジュリアンは永遠の絆だって言ったわ。でも、この絡み合ったゴールドは、時々、解けない鎖のように感じるの」
イザベルは黙ってエミリーの言葉を聞いていた。そして、静かに口を開いた。
「エミリー、どんなに固く結ばれた絆でも、時には緩むこともあるわ。大切なのは、その絆を信じ続けること。そして、その絆が本当に自分にとって大切なものなのか、見極めることよ」
イザベルの言葉は、どこか自分自身に言い聞かせているようにも聞こえた。彼女の視線もまた、エミリーの胸元で輝くスリーカラーゴールドのブローチに吸い寄せられていた。その二つの円環は、エミリーとジュリアンだけでなく、イザベル自身の運命をも静かに見つめているかのようだった。
その時、店のドアベルが鳴り、一人の男性が入ってきた。それは、ジュリアンのパトロンであり、パリの社交界で大きな影響力を持つ初老の紳士、アルベール男爵だった。男爵はイザベルの帽子の顧客でもあった。
「やあ、イザベル嬢。今日も素晴らしい作品が並んでいるね。おや、こちらは…エミリー嬢ではないか」
男爵の鋭い目が、エミリーの胸元のブローチを一瞥した。
「美しいブローチだ。ティファニーのものかな?インターロッキングサークル…永遠の絆、か。だが、金細工というものは、時に脆く、そしてその輝きの内側は、空虚なこともある」
男爵の言葉は、まるでエミリーの心の奥底を見透かしているかのようだった。エミリーは、ブローチの冷たい感触を確かめるように、そっと指で押さえた。その中空の空間が、まるで男爵の言葉によって抉られたかのように、より一層大きく感じられた。
パリの空は、いつしか重い雲に覆われ始めていた。暁色の約束として贈られたブローチは、今、エミリーの胸で複雑な光と影を宿し始めていた。その輝きの物語は、まだ始まったばかりだった。
第二章:亀裂の影、失われた円環
ジュリアンの成功は、彼をパリの社交界の中心へと押し上げた。夜ごと開かれる華やかなパーティー、有力なパトロンたちとの会食、そして彼を賞賛し、取り巻く多くの人々。エミリーは、そんなジュリアンの変化に戸惑いを隠せなかった。かつてモンマルトルの小さなアトリエで、二人きりで夢を語り合った日々は、遠い昔のことのように感じられた。
胸元のブローチは、相変わらず美しい輝きを放っていた。イエローゴールドは変わらぬ太陽のようなエミリーの愛情を、ローズゴールドはジュリアンへの消えぬ情熱を、そしてホワイトゴールドは二人の間にあったはずの純粋な絆を象徴しているはずだった。しかし、その三色が複雑に絡み合うツイストデザインは、今やエミリーの目には、解きほぐせない苦悩の象徴のように映った。
「ジュリアン、最近とても疲れているように見えるわ。少し休んだらどう?」
ある夜、遅くに帰宅したジュリアンに、エミリーは心配そうに声をかけた。
「大丈夫だよ、エミリー。今は大切な時期なんだ。ここで立ち止まるわけにはいかない」
ジュリアンの声には、以前のような温かみが感じられなかった。彼の目は成功の熱に浮かされ、エミリーの不安げな表情を映してはいなかった。
そんな中、イザベルはエミリーを気遣い、頻繁に彼女を訪ねるようになった。二人は静かにお茶を飲み、他愛のない話をして過ごしたが、話題がジュリアンに及ぶと、エミリーの表情は曇った。
「イザベル、私、どうしたらいいのかわからないの。ジュリアンは変わってしまったわ」
「人は変わるものよ、エミリー。特に、大きな成功を手にした時はね。でも、彼の心の奥底にあるものは、きっと変わっていないはずよ」
イザベルはそう慰めたが、彼女自身の心もまた揺れていた。ジュリアンがエミリーから離れていくのを感じるたび、かつて抱いた淡い想いが、再び頭をもたげるのだった。しかし、親友の苦しみを見過ごすことはできなかった。
ある日、ジュリアンはパリ郊外の貴族の館で開かれる大規模な展覧会への出品準備に追われていた。その展覧会は、彼のキャリアにとって決定的な意味を持つものだった。エミリーも手伝いを申し出たが、ジュリアンは「君は家で待っていてくれ。ここは僕一人で集中したい」と、どこか冷ややかに言った。
その夜、エミリーは一人、アパルトマンでジュリアンの帰りを待っていた。不安と寂しさが押し寄せ、彼女は無意識のうちに胸元のブローチを握りしめた。その時、ブローチの留め金が緩んでいたのか、ふとした拍子に、それは彼女の手から滑り落ち、床にカラン、と乾いた音を立てた。
「あっ…!」
エミリーは慌ててブローチを拾い上げた。幸い、傷ついた様子はなかったが、その瞬間、彼女の胸に不吉な予感がよぎった。まるで、二人の絆に亀裂が入ったことを示すかのように。
その予感は、数日後に現実のものとなった。ジュリアンが、展覧会の打ち合わせと称して、アルベール男爵の若い姪であり、社交界の花形であるコレットという女性と頻繁に会っているという噂が、エミリーの耳に入ってきたのだ。コレットは美しく、裕福で、そして何よりもジュリアンの新しい世界に属する人間だった。
エミリーは、震える手でジュリアンに問い詰めた。
「ジュリアン…コレットさんと、どういう関係なの?」
ジュリアンは一瞬顔をこわばらせたが、すぐに平静を装った。
「何を言っているんだ、エミリー。彼女は大切な顧客の一人だよ。僕の作品を気に入ってくれているんだ」
「それだけなの?毎晩のように二人で会っているって聞いたわ」
「それは誤解だよ。仕事の話をしているだけだ」
ジュリアンの言葉は、もはやエミリーの心には届かなかった。彼の目には、かつてエミリーを愛おしそうに見つめた光はなく、焦りと苛立ちの色が浮かんでいた。
その夜、激しい口論の末、エミリーはアパルトマンを飛び出した。雨が降りしきるパリの街を、彼女は当てもなくさまよった。涙で視界がぼやけ、胸元のブローチだけが、冷たく、重く感じられた。中空のデザインが、今はまるで彼女自身の心の空虚さを表しているかのようだった。
イザベルのアトリエにたどり着いた時、エミリーは心身ともに疲れ果てていた。イザベルは何も聞かず、ただ黙ってエミリーを抱きしめ、温かいベッドへと導いた。
翌朝、エミリーが目を覚ますと、胸元からあのブローチが消えていることに気づいた。
「ブローチが…ないわ!」
パニックに陥るエミリーを、イザベルは必死で落ち着かせようとした。
「落ち着いて、エミリー。どこで失くしたか、覚えている?」
エミリーは昨夜のことを思い出そうとしたが、混乱していて記憶が曖昧だった。雨の中を走り、どこかで転んだような気もする。
二人は、エミリーが昨夜通ったであろう道を懸命に探した。雨上がりの石畳、街路樹の下、カフェの軒先。しかし、あの美しいスリーカラーゴールドのブローチは見つからなかった。二つの円環の一つが、まるでジュリアンとの絆のように、エミリーの手からこぼれ落ちてしまったかのようだった。
ブローチを失くしたことは、エミリーにとって大きな衝撃だった。それは単なる装飾品ではなく、ジュリアンとの愛の象徴であり、未来への希望そのものだったからだ。彼女は食事も喉を通らず、部屋に閉じこもりがちになった。
その頃、ジュリアンは展覧会の成功に酔いしれていた。コレットとの関係も深まり、彼はエミリーのことを顧みる余裕を失っていた。エミリーがブローチを失くしたことさえ、彼は知らなかった。いや、知ろうとしなかったのかもしれない。彼にとって、あのブローチは、もはや過去の遺物でしかなかったのかもしれない。
イザベルは、エミリーの憔悴しきった姿を見るに見かねて、ある決意を固めた。彼女は、自分の持てる限りの人脈を使い、ブローチの行方を探し始めた。古物商、質屋、警察にまで届け出を出した。エミリーのため、そして、かつて自分が抱いた淡い想いへの、ある種の贖罪のように。
数週間が過ぎた。エミリーの心は、ブローチと共に失われたままだった。そんなある日、イザベルの元に一本の電話が入った。それは、セーヌ川沿いの小さな古物商の主人からだった。
「もしもし、イザベル様でいらっしゃいますか?先日お預かりしたブローチの件ですが…」
イザベルは息を飲んだ。
「見つかったのですか!?」
「ええ、おそらくこれではないかと。三色のゴールドで、二つの円が重なったデザインの…」
イザベルは、エミリーの手を引いて古物商へと急いだ。店の奥の薄暗いショーケースの中に、それはあった。埃を被り、少し輝きを失ってはいたが、紛れもなく、あのティファニーのブローチだった。イエロー、ローズ、ホワイトのゴールドが絡み合い、二つの円環が優雅に重なり合っている。
「これだわ…!」
エミリーは震える声で言った。彼女はブローチを手に取ると、固く胸に抱きしめた。失われた円環が、再び彼女の元へ戻ってきたのだ。
しかし、ブローチはどこか以前とは違って見えた。よく見ると、片方の円環の縁に、小さな傷がついていた。おそらく、落とした時に石畳にでもぶつかったのだろう。そして、中空であるはずの内側から、微かに、本当に微かに、泥のようなものが覗いていた。まるで、失われていた間に、何かをその内に取り込んでしまったかのように。
古物商の主人は言った。
「これは、数日前に若い男が持ち込んできたものです。お金に困っている様子でした。少し汚れていましたが、磨けば大丈夫でしょう」
若い男…エミリーの脳裏に、ジュリアンの姿が浮かんだ。まさか、彼が?いや、そんなはずはない。彼は今、成功の頂点にいるはずだ。
イザベルは、エミリーの動揺を察し、主人に礼を言ってブローチを買い戻した。帰り道、エミリーは黙り込んでいた。手の中のブローチは、確かにあの日の輝きを取り戻しつつあったが、その小さな傷と、内側に残る微かな汚れは、彼女とジュリアンの間に生じた亀裂と、失われた時間の影を象徴しているかのようだった。
アパルトマンに戻ると、エミリーはブローチを丁寧に磨いた。ツイストされたゴールドの表面が、再び光を反射し始める。しかし、彼女はもう、以前のように無邪気にこのブローチを身に着けることはできないだろうと感じていた。このブローチは、甘い約束だけでなく、苦い現実と、失われたものの記憶をも内包してしまったのだから。
その夜、ジュリアンが珍しく早く帰宅した。彼は少し疲れた様子で、エミリーの顔を見ると、一瞬何かを言いたそうな表情をしたが、結局何も言わなかった。エミリーもまた、ブローチが見つかったことを彼に告げる気にはなれなかった。二人の間には、見えない壁が、より一層高く、厚くそびえ立っているように感じられた。
エミリーは、ドレッサーの引き出しの奥に、そっとブローチをしまった。インターロッキングサークルのデザインは、今や「永遠の絆」ではなく、「絡み合う運命」と「修復不可能な亀裂」を同時に示しているように思えた。スリーカラーゴールドの輝きは、喜びも悲しみも、愛も裏切りも、全てを映し出す鏡のようだった。そして、その中空の内側には、誰にも見えない物語が、静かに堆積し始めているのだった。
パリの空は、相変わらず気まぐれだった。ある日は太陽が輝き、ある日は冷たい雨が降る。エミリーの心もまた、晴れ間と曇り空の間を揺れ動いていた。失われた円環は戻ってきたが、本当に失われたものは、もう二度と取り戻せないのかもしれない。その予感が、彼女の胸を重く締め付けていた。
第三章:時の流れ、交差する運命
歳月は、セーヌ川の水面を滑る木の葉のように、静かに、そして確実に流れていった。エミリーとジュリアンの関係は、あのブローチが見つかった後も修復されることなく、やがて静かに終わりを迎えた。ジュリアンはコレットと結婚し、パリの社交界で不動の地位を築いた。エミリーは、モンマルトルのアパルトマンに一人残り、小さな翻訳の仕事をしながら、ひっそりと暮らした。
あのティファニーのブローチは、ドレッサーの引き出しの奥で、長い眠りについていた。エミリーは時折、それを取り出しては眺めたが、身に着けることはなかった。ブローチを見るたびに、暁色の約束と、その後の苦い記憶が蘇り、胸が締め付けられるからだった。イエローゴールドの輝きは色褪せぬ思い出を、ローズゴールドは消えぬ痛みを、そしてホワイトゴールドは失われた純粋さを映し出しているかのようだった。その中空の内側には、彼女の青春の喜びと悲しみが、静かに封じ込められていた。
イザベルは、エミリーの良き相談相手であり続けた。彼女自身の帽子デザイナーとしてのキャリアは順調で、パリだけでなくロンドンやニューヨークにもその名を知られるようになっていた。しかし、彼女の心の中には、常にエミリーとジュリアン、そしてあのブローチを巡る出来事が、微かな影を落としていた。
第二次世界大戦の暗い影がヨーロッパを覆い始めた頃、エミリーはパリを離れる決意をした。戦火を逃れ、南フランスの小さな村へと移り住んだのだ。その時、彼女はごく僅かな荷物と共に、あのブローチを携えて行った。それはもはや愛の証ではなかったが、彼女の人生の重要な一部であり、手放すことのできない記憶の断片だった。
戦後、エミリーはパリに戻ることはなかった。彼女は南フランスの穏やかな気候の中で、静かに余生を過ごした。そして、1970年代の初め、エミリーは誰にも看取られることなく、小さな家で息を引き取った。彼女の遺品は僅かで、その中に、古びたベルベットの小箱に収められたティファニーのブローチがあった。
ブローチは、エミリーの遠縁にあたる若い女性、ソフィーの手に渡った。ソフィーは、エミリーの顔も知らなかったが、遺品整理の際にそのブローチを見つけ、その繊細な美しさに心惹かれた。彼女はそれがティファニーのものであることも、その背後にある物語も知らなかった。ただ、古いけれど美しいジュエリーだと思い、時折、特別な日に身に着けるようになった。
ソフィーは現代を生きるキャリアウーマンで、パリの広告代理店で働いていた。彼女の生活は忙しく、目まぐるしく変化する流行の中で、常に新しいものを追い求めていた。そんな彼女にとって、このヴィンテージのブローチは、少し古風で、しかしどこか心惹かれる不思議な存在だった。
ある日、ソフィーは会社の重要なプレゼンテーションを控えていた。彼女は自信をつけるために、お守りのようにあのブローチをジャケットの襟に着けた。インターロッキングサークルのデザインは、彼女に不思議な落ち着きを与えた。スリーカラーゴールドの輝きが、会議室の照明を受けて、静かにきらめいた。
プレゼンテーションは成功裏に終わった。クライアントの一人である初老の紳士が、ソフィーに近づいてきた。
「素晴らしいプレゼンテーションでした、ソフィーさん。そして…そのブローチ、とても美しいですね」
紳士は、美術品コレクターとしても知られるピエール・デュポンと名乗った。
「ありがとうございます。これは…大叔母の形見なのです」
「そうですか。ティファニーの古いものでしょう。インターロッキングサークル、そしてスリーカラーゴールドのツイスト。見事な細工です。特にこの時代のものは、中空でありながらこのボリューム感を出す技術が素晴らしい」
デュポン氏は、まるでブローチの魂を見透かすかのように語った。
「中空…ええ、見た目より軽いんです」ソフィーは少し驚いて答えた。
デュポン氏は、ブローチにまつわる歴史やデザインについて、ソフィーに熱心に語り聞かせた。
「インターロッキングサークルは、永遠の絆や調和を象徴します。そして、このスリーカラーゴールド。イエロー、ローズ、ホワイト。それぞれが異なる意味を持ち、それらが絡み合うことで、人生の豊かさや複雑さを表現しているとも言われています。特にこのツイストデザインは、職人の高い技術を要するものです」
ソフィーは、初めてこのブローチが持つ深い意味を知り、感動を覚えた。それは単なる古いアクセサリーではなく、時代を超えて受け継がれてきた物語を持つ芸術品だったのだ。
その出会いをきっかけに、ソフィーはブローチの歴史に興味を持つようになった。彼女は、エミリーの遺品の中に残されていた古い手紙や日記を読み返し始めた。そこには、エミリーの若き日の恋、ジュリアンとの出会い、そしてブローチに込められた想いが、淡々と綴られていた。しかし、その記述は途中で途切れ、ブローチが失われ、そして再び見つかった経緯や、その後のエミリーの心の葛藤については、ほとんど触れられていなかった。
ソフィーは、もっと深くこのブローチの物語を知りたいと思った。デュポン氏に相談すると、彼はある人物を紹介してくれた。それは、ヴィンテージジュエリー専門の鑑定士であり、歴史研究家でもあるマダム・ルロワという老婦人だった。
マダム・ルロワは、ルーヴル美術館の近くに小さなオフィスを構えていた。彼女はソフィーのブローチを一目見るなり、その瞳を輝かせた。
「これは…素晴らしい逸品ですわ、マドモアゼル。1920年代のティファニー。この時代のスリーカラーは特に美しい。そして、このインターロッキングサークル…何か特別な物語がありそうですわね」
マダム・ルロワは、ルーペを片手にブローチを丹念に調べ始めた。彼女の指先が、エミリーが気づいた小さな傷に触れた。
「ここに傷が…そして、この中空の部分。内側に何か…微細な土のようなものが付着しているようですわね。長い間、どこかに埋もれていたか、あるいは地面に落ちていた時期があるのかもしれません」
ソフィーは、エミリーの日記に書かれていたブローチ紛失の出来事を思い出した。
「実は、大叔母の日記に、一度このブローチを失くしたという記述があるんです。雨の日にパリの街で…」
「なるほど…それがこの痕跡かもしれませんわね」
マダム・ルロワは、さらにブローチを調べ続けた。そして、彼女はある一点に気づいた。ブローチの裏側、留め金の近くに、肉眼ではほとんど見えないほどの、微細な刻印があったのだ。
「これは…イニシャルかしら? J…そして、その隣には、微かにI…?」
ソフィーは息を飲んだ。Jはジュリアン。では、Iは…? エミリーの日記には、親友イザベルの名前が頻繁に登場していた。まさか、イザベルもこのブローチに深く関わっていたのだろうか?
マダム・ルロワは、過去のオークションカタログやティファニーのアーカイブ資料を調べ始めた。ソフィーは、固唾を飲んでその結果を待った。数日後、マダム・ルロワから連絡があった。
「マドモアゼル・ソフィー、興味深いことが分かりましたわ。このブローチと酷似したデザインのものが、1950年代に一度、パリの小さなオークションに出品されています。出品者は…イザベル・デュランという帽子デザイナーでした」
「イザベル…!」
ソフィーの心臓が高鳴った。エミリーの親友だったイザベルが、なぜこのブローチをオークションに? エミリーが南フランスへ移住した後、二人の間に何があったのだろうか? ブローチは、エミリーの手からイザベルの手に渡り、そして再びエミリーの元へ戻ったのだろうか?
謎は深まるばかりだった。ソフィーは、このブローチが繋ぐ、エミリーとイザベル、そしてジュリアンという三人の運命の糸を、手繰り寄せようとしていた。スリーカラーゴールドの輝きは、過去の愛憎と友情、そして裏切りと許しの物語を、静かに語りかけているかのようだった。インターロッキングサークルは、もはや二人の絆だけでなく、複数の人生が複雑に交差する地点を示していた。そして、その中空の内側には、ソフィーがまだ知らない、更なる秘密が隠されているのかもしれなかった。時の流れは、新たな視点と謎をもたらし、ブローチの物語は次の章へと移ろうとしていた。
第四章:再会と解き放たれる真実
イザベル・デュラン。その名前は、ソフィーの心に大きな波紋を広げた。エミリーの親友であり、高名な帽子デザイナーだったという彼女が、なぜエミリーのブローチをオークションに出品したのか。その謎を解き明かすため、ソフィーはマダム・ルロワの助けを借りながら、イザベル・デュランの足跡を辿り始めた。
イザベルは数年前に亡くなっていたが、彼女の作品や資料の一部は、パリの服飾美術館に寄贈されていた。ソフィーは美術館を訪れ、学芸員の協力を得て、イザベルに関する資料を閲覧した。そこには、彼女のデザインスケッチや写真、そしていくつかの手紙が保管されていた。
その中に、一通の古びた封筒を見つけた。宛名はなく、差出人の名前も記されていなかったが、消印は1950年代半ば、南フランスの小さな町のものだった。エミリーが住んでいた町だ。ソフィーは震える手で封筒を開いた。中には、一枚の便箋と、小さなスケッチが入っていた。
便箋には、弱々しいながらも美しい筆跡で、こう綴られていた。
「親愛なるイザベルへ。
お元気ですか。私は、こちらで穏やかな日々を送っています。あなたが送ってくれた帽子のスケッチ、とても素敵でした。あなたの才能は、今も変わらず輝いているのですね。
先日、古い荷物を整理していたら、あのブローチが出てきました。あなたが私に秘密で買い戻してくれた、あのティファニーのブローチです。あの頃の私は、ジュリアンとのことで頭がいっぱいで、あなたにちゃんとお礼も言えませんでしたね。本当にありがとう。
でも、今の私には、もうこのブローチは必要ないのです。これを持っていると、辛い記憶ばかりが蘇ってきてしまう。だから、あなたに託したいのです。あなたは、このブローチの本当の価値を理解してくれる人だから。あなたが望むように、このブローチの未来を決めてください。もしかしたら、新しい持ち主の元で、新しい物語を紡ぐことができるかもしれません。
私のかつての過ちと、あなたの変わらぬ友情に、心からの感謝を込めて。 エミリー」
ソフィーは息を飲んだ。エミリーは、ブローチをイザベルに送っていたのだ。そして、イザベルがオークションに出品したのは、エミリーの意志を汲んでのことだったのかもしれない。しかし、なぜブローチは再びエミリーの元に戻り、ソフィーの手に渡ったのだろうか?
スケッチには、エミリーのブローチとよく似た、インターロッキングサークルのデザインが描かれていた。しかし、よく見ると、それはブローチではなく、イヤリングのデザインだった。そして、その傍らには、小さな文字で「Eへ。償いと、新たな始まりのために」と記されていた。
混乱するソフィーの元に、マダム・ルロワから連絡が入った。
「マドモアゼル・ソフィー、大変興味深いことが判明しましたわ。あのオークションですが、ブローチは落札されなかったようです。そして、その数日後、イザベル・デュラン女史自身が、そのブローチを買い戻しています」
「イザベルが買い戻した…? どうして?」
「そこまでは分かりませんが…しかし、彼女の晩年のインタビュー記事を見つけました。その中で、彼女は若い頃の友情と、ある大切なジュエリーについて語っています。『それは友情の証であり、同時に私の罪の象徴でもありました。だから、手放すことも、持ち続けることもできなかったのです』と」
ソフィーの頭の中で、バラバラだったパズルのピースが繋がり始めた。
エミリーはブローチをイザベルに送った。イザベルは、エミリーの意を汲んで一度はオークションに出品しようとしたが、何らかの理由で手放すことができず、買い戻した。そして、そのブローチを大切に保管し続けた。しかし、エミリーが亡くなった後、イザベルはそのブローチをどうしたのだろうか?
ソフィーは、もう一度イザベルの資料を注意深く見直した。すると、彼女の遺言執行人の連絡先を見つけた。ソフィーは、僅かな望みを託して、その人物に連絡を取ってみることにした。
数日後、ソフィーはイザベルの遺言執行人である弁護士、ムッシュ・ベルナールと会うことになった。ベルナール氏は、ソフィーが持参したブローチとエミリーの手紙を見て、深く頷いた。
「ああ、やはりこのブローチでしたか。イザベル様は、亡くなる直前まで、このブローチのことを気にかけておられました」
そして、ベルナール氏は、イザベルが残した一通の手紙をソフィーに手渡した。それは、「このブローチの正当な持ち主が現れた時に渡してほしい」と託されていたものだった。
手紙は、イザベルの美しい文字で、こう書かれていた。
「親愛なる、まだ見ぬあなたへ。
この手紙を読んでいるということは、あなたはエミリーのブローチを手にし、その物語を追い求めているのでしょう。そして、おそらくあなたは、エミリーの血を引く方なのでしょうね。
私は、エミリー・ドーネイの生涯の友、イザベル・デュランです。そして、このブローチにまつわる、もう一人の当事者でもあります。
若い頃、私はエミリーの恋人であったジュリアンに、密かに想いを寄せていました。その想いは、友情と嫉妬の間で揺れ動き、私自身を苦しめました。エミリーがジュリアンから贈られたこのブローチを見るたび、私の心は複雑な感情で満たされたのです。
エミリーがブローチを失くしたあの日、私は必死でそれを探しました。そして、それを見つけたのは、実は私だったのです。しかし、その時、私の心に悪魔が囁きました。このブローチがなければ、エミリーとジュリアンの絆は切れるかもしれない。そうすれば、私にもチャンスが…と。私は、ブローチを見つけたことをエミリーに告げず、しばらくの間、それを隠し持っていました。
しかし、エミリーの苦しむ姿を見るうちに、私の罪悪感は耐え難いものになりました。そして、数日後、匿名で古物商に持ち込み、エミリーの元に戻るように仕向けたのです。あの時、ブローチについた小さな傷と汚れは、私の心の傷と汚れそのものでした。
エミリーは、後にそのことを薄々感づいていたのかもしれません。それでも彼女は私を許し、友情は続きました。彼女が南フランスへ発つ時、私はこのブローチを、いつか必ず彼女に返そうと心に誓いました。
彼女からブローチが送られてきた時、私は驚きと安堵、そして深い後悔の念に包まれました。オークションに出品しようとしたのは、エミリーの言葉通り、新しい物語を紡いでほしかったから。しかし、どうしても手放すことができませんでした。このブローチは、私にとって、エミリーとの友情の証であり、そして私の犯した罪の記憶そのものだったからです。
だから、私はこのブローチを大切に保管し、いつかエミリーの血を引く誰かが現れた時に、この真実と共に託そうと決めていたのです。このブローチは、多くの喜びと悲しみ、愛と裏切り、そして友情と後悔をその中空の内に秘めています。
どうか、このブローチを大切にしてください。そして、もしできるなら、エミリーと私の物語を、許しと共に受け止めてください。
イエローゴールドは太陽のようなエミリーの優しさを、ローズゴールドは私たちの若き日の情熱を、そしてホワイトゴールドは、過ちを経てなお残った、純粋な友情の輝きを表していると、私は信じたいのです。
イザベル・デュラン」
ソフィーは、涙が止まらなかった。エミリーとイザベル、二人の女性の間にあった、深く複雑な友情と葛藤。そして、その中心にあったこのブローチ。インターロッキングサークルは、二人の魂の結びつきを、そしてスリーカラーゴールドのツイストは、彼女たちの絡み合った運命そのものを表していたのだ。
ブローチの中空の部分には、ただの空間ではなく、エミリーの失恋の痛み、イザベルの罪悪感と後悔、そして二人の間に流れた長い年月の想いが、幾重にも重なって詰まっているように感じられた。それは、見た目の華やかさだけではない、真の重みを持っていた。
イザベルの手紙には、追伸があった。
「追伸:エミリーが私に送ってくれたスケッチのイヤリングは、私が密かに作らせ、彼女の墓前に供えました。それは、私のささやかな償いのしるしです」
ソフィーは、再びエミリーのブローチを手に取った。その輝きは、今や過去のすべての物語を内包し、より一層深く、そして優しく感じられた。小さな傷も、微かな内側の汚れも、もはや欠点ではなく、このブローチが経てきた時間の証であり、物語の一部だった。
解き放たれた真実は、ソフィーの心に大きな感動と共に、ある種の責任感を与えた。このブローチの物語を、未来へと繋いでいく責任。
数日後、ソフィーはデュポン氏とマダム・ルロワを招き、ささやかなティーパーティーを開いた。彼女は、エミリーとイザベルの物語、そして手紙の内容を二人に語り聞かせた。
デュポン氏は深く頷き、言った。
「素晴らしい物語だ。ジュエリーというものは、単なる物質ではありません。それは人々の想いを運び、時代を超えて物語を紡いでいくのです。このブローチは、まさにその証ですね」
マダム・ルロワも、目に涙を浮かべていた。
「インターロッキングサークル…永遠の絆、そして許し。スリーカラーゴールド…人生の様々な局面。そして、中空のデザインは、過去を受け止め、未来への可能性を秘めている。まさに、このブローチそのものが、一つの詩のようですわ」
その言葉を聞き、ソフィーは微笑んだ。彼女は、このブローチを身に着けることの意味を、今、深く理解していた。それは、エミリーとイザベルの想いを受け継ぎ、そして自分自身の物語を紡いでいくことなのだと。
再会したのは、ブローチだけではなかった。過去の想いと真実が再会し、そして、ソフィー自身もまた、このブローチを通じて、自分のルーツと、そして未来へと繋がる道を見出したのだった。
第五章:未来へ紡ぐ円環の輝き
イザベルの手紙によって解き明かされた真実は、ソフィーの心に深い感銘と、ある種の解放感をもたらした。あのティファニーのブローチは、もはや単なる美しいヴィンテージジュエリーではなく、二人の女性の複雑な友情、愛、後悔、そして最終的な許しの物語を内包した、かけがえのない遺産となっていた。
ソフィーは、エミリーとイザベル、二人の想いを胸に、ブローチを大切に身に着けるようになった。それは、彼女にとって過去と現在を繋ぐ架け橋であり、未来への道しるべでもあった。インターロッキングサークルの二つの円環は、ソフィー自身の人生における大切な人々との絆を象徴し、スリーカラーゴールドの輝きは、日々の生活に彩りと深みを与えてくれた。イエローゴールドは希望と前向きなエネルギーを、ローズゴールドは愛情と思いやりを、そしてホワイトゴールドは知性と冷静な判断力を、それぞれ彼女に授けてくれるかのようだった。
そして、あのツイストデザイン。かつてエミリーが「解けない鎖のよう」と表現し、イザベルが「罪の記憶」と感じたその複雑な編み目は、ソフィーにとっては人生の多様性と、困難を乗り越えることで生まれる強さの象徴となっていた。中空であることの意味も、ソフィーの中で変化していた。それはもはや空虚さではなく、新たな物語や想いを迎え入れるための「余白」であり、無限の可能性を秘めた空間だと感じられた。
ある週末、ソフィーは南フランス、エミリーが晩年を過ごした小さな村を訪れた。彼女の眠る素朴な墓地には、穏やかな陽光が降り注いでいた。ソフィーは、エミリーの墓前に静かに花を供え、胸元のブローチにそっと触れた。
「エミリーお祖母様、イザベルさんの想い、確かに受け取りました。お二人の物語は、私の中で生き続けます」
その時、一羽の小鳥が近くの木の枝に止まり、美しい声でさえずった。まるで、エミリーの魂がソフィーの言葉に応えているかのようだった。
パリに戻ったソフィーは、一つの決意を固めた。このブローチの物語を、何らかの形で残したい。そして、エミリーとイザベルのような、困難な時代を生き抜いた女性たちの強さと優しさを、現代の人々にも伝えたい。
彼女は、長年勤めた広告代理店を辞め、小さなジュエリーブランドを立ち上げることを決意した。そのブランドのコンセプトは、「物語を紡ぐジュエリー」。ヴィンテージの要素を取り入れつつ、現代的な感性でデザインされた、一つ一つにストーリーのあるジュエリーを作りたいと考えたのだ。
最初に取り組んだのは、あのブローチにインスパイアされたコレクションだった。インターロッキングサークル、スリーカラーゴールド、そして繊細なツイスト。これらの要素を現代的に再解釈し、ネックレスやイヤリング、リングなどをデザインした。そして、それぞれの作品には、エミリーとイザベルの物語から着想を得た名前が付けられた。「暁色の約束」「亀裂の影」「時の流れ」「再会の光」「未来への円環」。
ブランドの立ち上げは容易ではなかったが、ソフィーの情熱と、ブローチの物語が持つ力は、多くの人々を惹きつけた。特に、ジュエリーが中空であることを活かし、内側に小さな誕生石やメッセージを刻印できるサービスは、「自分だけの秘密の想いを込めることができる」と好評を博した。それは、あのティファニーのブローチが、エミリーとイザベルの想いを内包してきたことへのオマージュでもあった。
ある日、ソフィーの小さなアトリエ兼ショップに、一人の若い女性が訪れた。彼女は、ショーケースに飾られた「未来への円環」と名付けられたスリーカラーゴールドのネックレスに目を留めた。
「このネックレス…とても素敵ですね。何か、特別な意味があるのですか?」
ソフィーは微笑んで、エミリーとイザベルの物語の概要を語り聞かせた。若い女性は、目を潤ませながら聞き入っていた。
「素晴らしいお話…私も、大切な人との絆を、こんな風に形に残したいと思っていました」
彼女は、そのネックレスを購入し、中空の部分に、恋人のイニシャルを刻むことを依頼した。
ソフィーのブランドは、次第に評判を呼び、多くの人々に愛されるようになった。彼女は、ジュエリーを通じて、人々の心に寄り添い、小さな希望や勇気を与えることに喜びを感じていた。
数年後、ソフィーは結婚し、娘を授かった。娘が成人を迎える日、ソフィーは一つの決意を胸に、あのティファニーのブローチをドレッサーから取り出した。長い年月を経ても、その輝きは少しも衰えていなかった。イエロー、ローズ、ホワイトのゴールドが織りなすハーモニーは、より一層深みを増しているようにさえ見えた。
「これは、あなたのお祖母様、そしてその親友の物語が詰まった、大切なブローチなのよ」
ソフィーは、娘にエミリーとイザベルの物語を語り聞かせ、そしてブローチをそっと手渡した。
「このブローチが、あなたの人生の道しるべとなりますように。そして、あなたがいつか、この物語を次の世代へと語り継いでくれることを願っているわ」
娘は、ブローチの美しさと、その背後にある物語に深く感動し、涙ぐんだ。彼女はブローチを胸に着けると、その重みと温かさを感じた。それは、金属の重さだけではない、幾世代にもわたる女性たちの想いの重みだった。
インターロッキングサークルは、世代を超えて受け継がれる絆の象徴として、再び新たな物語を紡ぎ始めた。スリーカラーゴールドの輝きは、過去、現在、そして未来を繋ぎ、ツイストされたロープは、これからも続くであろう人生の様々な出来事を暗示しているかのようだった。そして、その中空の内側には、エミリー、イザベル、ソフィー、そして今、彼女の娘の想いが、新たな層として加わろうとしていた…
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③濒危的和珍贵的动物、植物(均含标本)及其种子和繁殖材料;
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常见禁止和限制购买的物品例如:象牙及相关加工制品、活物、动物部件(例:鲸牙,虎牙等)、龟甲、植物、香木、沉香木、檀木(例:紫檀、白檀、黑檀等)、花梨木、珊瑚类、琥珀、药品、流通货币、羽毛、纸币、蛤基棋子、仿真枪、刀具、烟(含电子烟)、酒、涉黄物品(例:影片、音像、图片、书籍书刊、BL书籍等所有涉黄周边内容)、毒品、反动报刊、皮草、貂皮、鲛皮、动物皮制衣服等所有海关禁止入境或其它一切国家禁止买卖的商品。
请参考
《中华人民共和国禁止进出境物品表》和《中华人民共和国限制进出境物品表》(1993年2月26日海关总署令第43号发布自1993年3月1日起施行)
详情请点击:http://www.customs.gov.cn//customs/302249/302266/302267/356445/index.html
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