大正10年に制作された池田儀右衛門の上絵金彩楼閣山水 反り口 蓋物を出品します。
池田儀右衛門は佐賀県有田町にて、「有光」または「有光堂」を銘とした卸商店を営んだ方です。
現代は転写紙による貼り付け焼成が主流になっていますが、明治大正は全て手描きによる絵付です。
本作品は蓋にめいいっぱい絵付された楼閣山水が緻密な作業で描かれた風情ある蓋物となっています。用いらた絵具に黒色があり、岩肌を上手く表現しています。楼閣の配置も良く、上方より垂れた松と相まって遠近感を出す描写になっています。ひっそりと佇む山を青絵具を施すのも稀です。
蓋を開くと有識文様、胴部には西洋食器のような花々を配置、僅かな高台に細かな文様がある、大変手が込んだ作品です。
この手の画力は有田ではなく平戸三川内の絵付師です。有光堂は商社であり、窯ではありません。また平戸三川内へ制作依頼をしていた為、断言しても良いでしょう。
特筆すべきは、やはり楼閣山水です。またこれは染付技法がなく、全て上絵による作業です。
楼閣の1本1本の線が非常に細かく小さな尺図に人物を配置しており、木々に咲く花には金彩を使った箇所もひと手間かかっています。
縁をスっと反り立て、胴部をふっくらさせた変形型も良いです。焼き物は女性の腰のクビレが最も美しい形状と言われています。女性らしさがある可愛い形状です。
入手不可能に近い品物になり、昔のものなので経年によるスレた箇所はありますが、メインの蓋に描かれた楼閣山水の上絵剥げやスレ、金彩もスレもなく保存状態は良いです。希少なものとなっています。
現代の転写焼き物と比べると雲泥の差ですね。今これを制作し販売するとなると間違いなく2万~3万で販売されている代物になるでしょう。
サイズは12.0cm×高さ7.0cmです。
よろしくお願い致します。
素材···陶磁器/焼物
ブランド···伊万里焼・有田焼
形···角皿
アイテム 種類···小鉢