褐色に染めた羽二重の生地に蝋を塗り、乾かして硬くなったところを掌でクシャクシャと生地を掴んで蝋を割り、さらに、染料の中で細かく割りながら蝋纈美の—つでもある亀裂を巧みに表現しています。
背の部分には、金採で縁取りされた扇絵や瓢箪、そして川岸に係留された荷船が手描きされています。
金採友禅は表現したい部分に接着剤を塗り、下面に金網を張った振竹筒の中に入れた金採箔を、硬目筆で降り落して縁取りしています。
扇絵には5枚の扇を描いますが、これらの扇に美しい大和絵を施し、左右の組に別れて扇を出し合って競い合う扇合わせを描いているのでしょう。
1枚目の扇絵は遠景に遠山が広がり、川を挟んだ両岸に掛かる太鼓橋の山水風景画を描いています。
扇絵下には葦の茂る湖畔に雪を被せた葦の束を積む船とカラスを描いた風景画を載せています。
玉堂の名があります。河合玉堂には雪降る日といった雪と舟を描いた有名な絵があります。
汚れもございますが、なかなか手の込んだ長襦袢です。
気になさらない方のご購入を期待しております。
襦袢裏地は白の羽二重を使用。
精華生地で引き返しを15㎝ほど付けています。
男物の裾は裾山より引き返し、裾布を身頃(みごろ)の裏へ折り返して輪のまま仕立てますが、裾布と同時に2~3㎜程着物の裾フキを出しています。
裾に重みができて裾さばきの良さを意識したものか、それとも粋人さんのお好みなのかは不明です。
寸法(単位cm)
長襦袢丈(背)132.5 裄65 袖巾33 袖丈48.5 後巾30 前巾28
右後の船柄の右側のベージュ部分にシミがあります。(写真7枚目)
胴裏 右前身ごろと裾辺りに汚れ。(写真7,8,9 枚目)
胴裏の左前身頃に汚れ。(写真9,12枚目)
後右脇(袖付け辺り)に汚れがあります。(写真13,14枚目)
シミ、汚れ等はできる限りチェックしておりますが、見落としのある場合もございます。ご理解の程、お願いいたします。
デジカメの画像です。スマホやパソコンによって、色の違いがでることがありますので、ご了承下さい。また、カメラの特性で違う色になることが多々ありますのでお断りしておきます。
撮影に使用しましたマジックベルトは今回の出品物ではありません。