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高く上げられた水平線である風景画の歴史はある意味では水平線、地平線の高さの歴史でもある。初期、つまり15|16世紀の風景画は概して地平線が高い。英語の“ランドスケープ(風景)”とは文字通りには“陸の景色・眺め”を意味するが、初期の風景画では画面のほとんどが陸で占められ、空は肩身が狭い。山でも川でも岩でも欄木でも、なんでも描いてしまえという一種の詰め込み主義であるが、17世紀のオランダの風景画は空の高い、平地な国土を反映してか、空の占める部分がしだいに大きくなる。この傾向は近代のロマン主義、リアリズムでも大きくは変わらない。それだけにこのへ浜辺にて)は、風景画としてはある意味では時代に逆行している。ここでは空は水平な細い筋にすぎないが、それにより、広々とした空間感覚は失われるものの、逆に対象をズームアップし、手前に引きつけることで、人間と自然との親密な一体感が生まれているともいえよう。
文•監修 千足伸行(成城大学教授)
B0409