有田焼の窯元において、絵付全てにおいて最も素晴らしいと感じる貴祥窯の染付鹿紅葉紋長角皿を出品します。
サイズは写真をご確認ください。
貴祥窯は、初期伊万里、寛永、寛文、延宝、元禄といった古伊万里を忠実に再現している窯元です。
本作品は寛文期(1661~1673年)にある鹿紅葉紋の意匠を忠実に再現した木甲型長角皿です。呉須による染付だけですが美しい作品です。
全てが手描きによる染付の技法、下書きは一切しておらず、全てが本番勝負です。
本作品の特徴はやはり、駆け巡る鹿や紅葉、山々濃の描き方でしょう。江戸時代では動植物の自然の有様を観る機会が多かった為、人々は自然をよく観察し、その風景を描いていました。言わば、農村風景や山水など目に焼き付くほど見ていたのだと思います。しかし、現代はあらゆる方面で整備され自然を感じる機会はなくなりつつある中、貴祥窯のこの作品は自然の有様を良く表現しています。
鹿だけでなく木々の濃淡も良いです。染付の場合、太筆で細く線を描く事が最も難しいものですが、本作品はご覧の通り、鹿のふっくらした体格線や表情もよく濃の塗り方と丁寧で暖かみがあります。染付だけですが、色を感じられる風景が見えるかと思います。これは本物でしか出来ません。
貴祥窯の特徴は、技法だけでなく、呉須もよく研究されており、江戸期の呉須の発色を再現しています。天然呉須でもない、現代の合成コバルトで江戸時期の呉須を再現できてしまうのかと驚きました。
実際に銘がなければ古伊万里と間違えてしまうほどの技術です。柴田夫妻コレクションで有名な柴田夫妻が実際に見られた時唸ったほどの作品です。
初期伊万里や古伊万里、寛文期の古伊万里も新品だった頃は、このような感じだったのでしょう。
よろしくお願い致します。