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「舍得」という言葉には、物事を手放すことで新しいものを得るという深い意味が込められています。つまり、「捨てる」ことなくしては、「得る」ことはできないという教訓です。この言葉は単に物質的なものを捨てるという意味だけではなく、心の中で執着を放つことが大切だということを教えています。
私たちは時に、何かを手に入れるためには、過去の執着や不必要なものを捨てる勇気が必要です。「舍得」は、心の平穏や精神的な成長を求めるために、何かを放下することが重要であることを示しています。
この字画は、ただの文字ではなく、深い哲学的な意味を持っています。それは、人生において、過去や執着から解放されることで、新しい未来や成長を得ることができるという重要な教えを伝えています。目にするたびに、この言葉が持つ深い意味を感じ取り、心の中で新たな発見を得ることができるでしょう。
旧蔵の紫檀木に彩貝を嵌め込んだ中堂掛け軸です。高級紫檀材を使用し、職人の手作業で七彩の貝殻を螺鈿技法で丁寧に嵌め込んでいます。「舍得」の文字が表現されており、何かを捨てることで得るものがあるという深い意味が込められています。
サイズは高さ60cm、幅18cm、厚さ2.5cm、重さ1840gです
螺鈿とは
螺鈿(らでん)とは、漆器などに施される装飾のひとつです。夜光貝などの美しい貝を使い、宝石のような美しさに仕上げます。「螺」は螺旋状の貝殻を指し、「鈿」は貝や金属などを使う飾りを指します。
螺鈿に用いられる巻貝は一般的に栄螺(さざえ)のように渦を巻いたものを指しますが、現在ではアワビ・夜光貝・シジミ・蝶貝なども使われています。どの貝も色合いが美しく、キラキラと輝くような見た目をしているのが特徴です。
材料となる貝に彫刻を施し、漆器の表面や木地などにはめ込む技法が螺鈿と呼ばれています。非常に繊細な技法で、少しの加減で表面の輝き方や色合いが異なるのも魅力のひとつです。さまざまな文様や模様が表現される螺鈿ですが、使う貝の種類によっても仕上がりが異なります。
螺鈿が最初に作られるようになったのは、なんと紀元前3000年のエジプトだといわれています。今から5000年以上前に最初の螺鈿が作られたと考えると、当時のエジプトの技術力の高さがよく分かるでしょう。