67年に定価¥13800出発売されたベストセラー機です。
ソニーは65年に¥12500でこの先行機種であるソリッドステート11をヒットさせており、此方はその改良版といえます。
主な違いは
電源スイッチがボリューム専用型から独立しプッシュボタン式でトップパネルに移された事
スピーカーが楕円から9.2cmの丸型になった事
トランジスタが11石から12石に増えた事
チューニングメーターが付いた事
トーンコントロールが2段式から連続可変となった事
等で、アクセサリーについてはこのモデルが以降のトランジスタの3バンドラジオのデファクトスタンダードとなったと言っても良いでしょう。
音や感度も大きく改善され、殆ど現在のラジオに遜色無い程になりました。
縦型の完成されたデザインと共に所謂団塊の世代の方々には憧れの一台であった事でしょう。
この個体はアンテナが根本から無くなっており、電源入らず、入っても動作が不安定、更にチューニングメーターが反応しないという初期状態でした。電池室の腐食も酷くマイナス電極が崩れ落ちていました。
一方で外観は汚れはあったものの比較的良好で、クリーニング後は可成り綺麗です。
アンテナはソニーの類似機種の物を転用、電源はメインスイッチの接触不良を改善、動作不安定はイヤホン端子の接触不良が原因でした。チューニングメーターは通電して受信を何度か繰り返すと直りました。単に動作しなかった期間が長かったので、動きが渋くなっていた様です。
音も感度も可成り良い感じです。
以前調整が上手く行かずにご迷惑をお掛けしたケースがあり代替機を探すも良いものがありませんでしたが、今回は大丈夫かと思います。
革ケース、電池付きです。
ここからは爺さんの独り言
このモデル、結構構造が複雑で修理、整備は大変です。一方でこの後継機のIC-11よりも遥かに丈夫でコストが掛かった印象があります。
状態の良い物は少ないのですが、ソニーの11シリーズを比べてみるのも楽しいかと思います。