中国の「Drum‐Form stool」は、ガーデンなどに置かれるドラム型スツール(樽型腰掛け)です。カラフルな陶磁器製、その天面や底面近くの外周に沿って小突起が施されています。
出品の蓋付小壷は、このドラム型スツールの形状ですが、青華(染付)磁器で、表面には勇ましくもあり愛くるしくもある2頭の獅子、吉祥紋である瑞雲(ずいうん)、花唐草などが丁寧に描かれています。
大きさ(㌢)重さはおよそ次の通りです。
高さ12.8、口径5.5、肩径9.5、
胴径10.5、底径8.8/
重さ771㌘(ずっしり感が)/
日本での「染付」は中国では「青華(せいか)」と呼ばれるようですが、中国の青華磁器の図柄は「唐草(花唐草)」とともに「龍や鳳凰」の文様が伝統的です。
中国の景徳鎮は陶磁器の生産地として世界的にも有名ですが、明時代末期から清時代には中国国内向けだけではなく、海外向け輸出用が景徳鎮の官窯以外の民窯で大量生産されていたようです。
出品の青華蓋付小壷は「獅子瑞雲」の図柄であって「龍や鳳凰」ではありません。可能性として、この時代に日本の発注によって景徳鎮民窯で生産され日本に輸出されたものかも分かりませんが、形状が余り見かけないドラム型スツールで、日本への輸出用ではなかったと思います。
骨董で汚れは否めませんが、目立つようなキズ、欠け、ヒビなどの損傷はほとんど見られません。製作段階で見られる細かなヒビ「貫入(かんにゅう)」は見られません。無貫入磁器は食器に適しているとか、当時の用途は食品や調味料などの保存用だったのでしょうか。
なお、口付近まで水を満たし水漏れのないことは確認しています。
アンティークコレクションに、置き物に、飾り物に、洗浄の上、食品、調味料の保存容器にもしていただけると思います。